好きなことを仕事にするとモチベが下がるのはなぜ?──アンダーマイニング効果とエンハンシング効果の話

「好きなことを仕事にできたら最高!」
そう思って、勇気を出して一歩踏み出したのに──
気づけばなんとなくやる気が出ない。あんなに楽しかったはずなのに…。
そんな経験、ありませんか?
実はこれ、「アンダーマイニング効果」という心理現象が関係しているかもしれません。
そして実は、逆のパターンでうまくいく人には「エンハンシング効果」が働いていることも。
🔍 アンダーマイニング効果とは?
アンダーマイニング効果とは、
「好きだからやっていたこと(内発的動機)」が、報酬や評価(外発的動機)によってやる気を失ってしまう現象のこと。
たとえば──
- 子どもが自由に絵を描いて楽しんでいた
- でも「うまく描いたらお小遣いあげるよ」と言われるようになる
- だんだん「お小遣いのために描く」に変わっていく
- 最終的には、お小遣いがもらえないとやる気が出なくなる
こんなふうに、「報酬」や「義務感」が“純粋な好き”を食ってしまうんです。
🎨 好きだったのに、描けなくなった話
「好きなことを仕事にする=幸せ」だと思いがちですが、時にはその逆に働くことも。
たとえば、こんな話があります:
「絵を描くのが好きで、時間を忘れるくらい夢中だった。
でも、ある日親から“それ、仕事にしたら?”って言われた瞬間、手が止まった。
なぜか描けなくなってしまって、自分でも戸惑った。」by 筆者
この感覚、まさにアンダーマイニング効果。
「好きだからやっていた」のに、「成果を出さなきゃ」という意識が芽生えたことで、楽しさが消えてしまった例です。
⚡じゃあ逆に、うまくいく人はどうしてるの?
実は、「報酬や評価」がモチベーションを高めるケースもあるんです。
それがもうひとつの心理効果、エンハンシング効果(Enhancing Effect)。
🌱 エンハンシング効果とは?
エンハンシング効果は、
「内発的動機(好き)」に外発的動機(報酬や評価)がうまくプラスされて、やる気がさらに高まる現象のこと。
たとえば──
- 絵を描くのが好きな人が、自分のイラストがSNSでバズって「もっと描きたい!」と感じる
- 自分の作品が売れて、「誰かの役に立ってる」と感じてさらに燃える
- 好きなことにフィードバックが返ってくることで、成長が実感できてモチベがUPする
このように、「外からの評価」が「好き」の火をさらに大きくするパターンもあるんです。
🤔 アンダーマイニングになるか、エンハンシングになるかの分かれ目
では、この2つの効果の違いはどこにあるのでしょう?
要素 | アンダーマイニング効果 | エンハンシング効果 |
---|---|---|
外発的動機の役割 | コントロール・義務として感じる | 認知・感謝・承認として感じる |
報酬のタイミング・意味づけ | 行動の「目的」として提示される | 行動の「結果」や「ごほうび」として受け取る |
自由度 | 低い(やらされている感) | 高い(自分で選んでいる感) |
ポイントは、自分でコントロールしている感覚があるかどうか。
「描かされてる」「稼がなきゃ」ではなく、「もっと届けたい」「喜ばせたい」と思えるかどうかがカギ。
🧠 モチベを保つためにできること
「好きなことを仕事にする」って、本当はめちゃくちゃ素敵なこと。
でも、それを長く続けるためにはちょっとした工夫が必要です。
✅ 1. 完全に“好きなだけ”の時間をつくる
お金も評価も関係ない、完全に自分のためだけの創作時間や趣味をキープしておく。
✅ 2. 自分の裁量で動ける環境を意識する
「やらされてる感」は内発的モチベを一気に潰す。
自分で決めて、自分で動ける環境を整えることが大事。
✅ 3. 外発的な報酬は「目的」じゃなく「ごほうび」にする
「稼ぐためにやる」より、「やってたら喜んでもらえた・稼げた」のほうが、モチベは持続しやすい。
✨ 最後に:モチベは“仕組み”で守れる
「好きなことを仕事にする」のが悪いんじゃなくて、
“好き”と“外からの評価”の関係性をどう作るかが大切なんです。
- アンダーマイニング効果 → 好きが消える
- エンハンシング効果 → 好きが加速する
この違いを意識するだけで、モチベーションの質が大きく変わります。
「好きだからこそ、嫌いにならないように。」
うまく仕組みを作って、長く付き合っていける“好き”を育てていきましょう。
それでは!